「あれは~だ」と訳せない "that is~" って何なの?

質問: "That is~." という文は、"That" の意味が「それ(あれ)」で、"is" の意味が「~は」だと思います。

だというのに、"That is~." を「それ(あれ)は~だ」と訳すと文の意味が通らないことがあります。

例えば次の2つの文:

  1. That is important.
  2. That is in the contract.

1つ目の文は "That is" を「それは~だ」と訳して意味が通じます。 「それは重要だ」です。

ですが2つ目の文は、"That is" を「それは~だ」の意味に訳そうとすると、「それは契約の中にだ」などと妙な日本語になります。

2つ目の文をちゃんと訳すにはどうすればいいですか?

回答: 2つ目の文をちゃんと訳せないのは、"is" の意味を知らないからです。

この点について以下で説明しましょう。

1. "is" の意味は「~は」ではない

「それ(あれ)は」の「~は」に対応する英語は "is" ではありません。 "~is" と「~は」は品詞からして違います

  • 「それ(あれ)は」の「~は」は助詞
  • "is" はBe動詞、つまり動詞
助詞である「~は」に対応する単語は英語の側に存在しません。 だから、和訳に登場する「~は」は "is" を訳したのではなく、英語を日本語にするときに助詞を補われたものです。

"That is in the contract." を正確に訳せないのは、Be動詞の意味を知らないからです。 Be動詞の意味をきちんと知れば正しく訳せます。

2. Be動詞の2つの意味

Be動詞も動詞である以上、動詞としての意味がちゃんとあります。

Be動詞の基本的な意味は次の2つです:

  1. 《イコール》~である、~だ
  2. 《存在》(~に)いる、ある、存在する

2.1.「イコール」の意味

Be動詞が「~である、~だ」の意味で使われる例が "That is important." です。

正しい対応関係

"That is important." の各語の意味は次の通り:

  • That ・・・「それ(あれ)」を意味する代名詞
  • is ・・・「~である、~だ」を意味する動詞
  • important ・・・「大切な、重要な」を意味する形容詞

間違った対応関係

日本語で「~である、~だ」は省略されることが少なくありません。 "That is important." にしても「それは重要」と訳して意味が通じます。 そのために、英語の初学者は次のように対応関係を認識し、"is" の意味を「~は」だと誤解してしまいます。

  • That ・・・「それ(あれ)」を意味する代名詞
  • is ・・・「~は」を意味する助詞 ← これが間違い
  • important ・・・「大切な、重要な」を意味する形容詞

2.2.「存在」の意味

Be動詞が「(~に)いる、ある、存在する」の意味で使われる例が "That is in the contract." です。

"is" を「~は」と訳そうとして不都合が生じるのはこちらの場合です。

「(~に)いる、ある、存在する」は「~である」と違って日本語で省略されにくいので、きちんと「(~に)いる、ある」と訳さないと物足りない日本語になります。

正しい和訳

"is" をきちんと「存在」の意味に訳すと次の通り:
That is in the contract.
それは契約の中に存在する
# 「それ」とは「その規定(取り決め)」を指します。

対応関係

日本語と英語の対応は次の通り:

  • That ・・・「それ(あれ)」を意味する代名詞
  • is ・・・「存在する」を意味する動詞
  • in the contract ・・・「契約の中に」を意味する副詞句

3. 2つの意味の使われ方

3.1. ~である、~だ

「~である、~だ」の「~」の部分には形容詞または名詞が入ります。 次に例を挙げます:

  • That is important. → "important" は形容詞
  • That is love. → "love" は名詞
形容詞/名詞の働きをするが入ることもあります。

3.2. いる、ある、存在する

場所を表す副詞と共に

「存在する」の意味のBe動詞は、場所を表す副詞(句)と共によく用いられます。

例えば "He is there." なら、"there" が「場所を表す副詞」です。
"He is there." にしても「彼はそこだ」で意味が通じますが、「彼はそこにいる」と訳すほうが意味が明瞭です。
また、"in the contract" は「場所を表す副詞」です。
複数の語が集まって1つの語と同じ働きをするのが「」です。 その「句」が副詞として働くのが「副詞句」です。

場所を表す副詞を伴わずに

「存在する」の意味のBe動詞は、場所を表す副詞(句)を伴わないこともあります。

例えば、"He is." だけで「彼は存在する」を意味する英語として成立します。
「存在する」を意味する動詞として "exist" がありますが、「いる、ある、存在する」の意味のBe動詞は、この "exist" に置き換えが可能です。(He is. = He exists.)
ただし!

ただし、"~is." で終わる文が常に「~が存在する」の意味だとは限りません。

例えば、次の会話文中の "is" は「~である」の意味です:
"Is he an artist?"
"Yes he is."
「彼はアーティストですか?」
「はい、そうです

"Yes he is." の後ろに "an artist" が省略されています。 "Yes, he is an artist." で「はい、彼はアーティストである」。

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