質問: すき家やマクドナルドなどのアルバイト募集の広告に使われる「クルー」という言葉は、どういう意味ですか? 「クルーソックス」の「クルー」の意味も知りたいです。
回答:「クルー」は「共同作業する人たちのグループ」という意味です。 「クルーソックス」の「クルー」も、この意味と関係があります。
詳しくは以下をご覧ください。
目次
1. 英語に戻すと
「クルー」を英語に戻すと "crew" です。
2. 言葉の由来
"crew" の意味の真髄を把握するため、"crew" の語源を見てみましょう。
"crew" の語源は「軍の増強、新兵」などを意味する古フランス語 "creue" です。古フランス語 "creue" から(おそらく16世紀に)成立した中世英語 "crew" は「増員として派遣される兵士のグループ」を意味しました。
3. 現代での意味
1. 基本的な意味
中世英語 "crew" の意味から転じて、現代の "crew" は「(軍隊に限らず)共同作業する人たちのグループ」という意味で使われます。
「クルー」の使用例
"crew" は「船や飛行機の乗組員」の意味でよく使われますが、この意味に限らず「共同作業するグループ」を全般的に指す言葉として用いられます。
下記の「クルー」は「共同作業をするグループ」という点が共通です:
- 船や宇宙船やヨットの「クルー」
- バイト募集の「クルー」
- 映画やドラマの撮影の「クルー」
- ヒップホップの「クルー」
3.2. 単なる「グループ」の意味も
"crew" には、「友人のグループ」や単に「人の集団」といった意味もあります。
こうした意味での "crew" は好ましくない集団を指してよく用いられます。「ツレ(友人たち)、非行グループ、不良集団、(あそこに集まってる)奴ら」といった感じです。3.3. ヒップホップの「クルー」
「ヒップホップのクルー」は馴染みの無い人が多いでしょうから、例文を挙げておきます。「ヒップホップのグループ」の意味での "crew" は「ツレ、友人のグループ」の意味から生まれたのかも。
3.4. 船や飛行機の「乗客」と「クルー」の違い
客船や旅客機の「クルー」は「乗組員/乗務員」という意味です。
船や飛行機の運行や運営に携わる(サービスを提供する側の)人員が「クルー」です。
したがってサービスを受ける側である「乗客」は「クルー」には含まれません。4. 衣類や髪型の「クルー」の由来
4.1. 靴下「クルーソックス」
靴下の一種「クルーソックス(crew socks)」は、米国の海軍が艦船の乗組員に支給した靴下(ソックス)に由来します。
クルーソックスは、厚手で丈が比較的短い(くるぶしよりは上に来る)靴下で、多くはリブ編み(畑の畝(うね)のように隆起する模様)です。
4.2. 髪型「クルーカット」
短髪ヘアスタイルの一種「クルーカット(crew cut)」の由来は、ハーバード大学やイェール大学などで行われるボート競技(漕艇・競漕・レガッタ)です。
ボート競技で1艇のボートを漕ぐチームを「クルー(crew)」と呼びますが、そのクルーのメンバーはボートを漕いでいるとき頭髪が邪魔にならないよう(1)短く刈り揃えました。
このクルーの髪型が「クルーカット」として世間に広まりました(2)。(1) ボート・レースでは両手が常にオールでふさがるので、髪が顔にかかるのが特に問題となる。
(2) "crew cut" という英語は遅くとも 1938年には使われていた(当初は "crew haircut" と呼ばれた)。4.3. 衣服「クルーネック」
「クルーカット」と同じ起源を持つ言葉に「クルーネック(crew neck)」があります。
"crew neck" は、シャツやセーターの「丸首」のことです(「丸首」の対義語は「Vネック」)。
"crew neck" は次の2つの意味で使われます:
- 《形状》シャツやセーターの丸首、シャツやセーターが丸首であること
- 《衣服》丸首のシャツやセーター
"crew neck" という英語が使われ出したのは 1939年と推定されています(当初はシャツではなくセーターについて用いた)。