質問. 戦闘機とか自動車とかの「ハリアー」とは、どういう意味ですか。
回答. 戦闘機の「ハリアー」は「チュウヒ」と呼ばれる鳥((タカの一種))の英名です。
トヨタなどの自動車の名称に用いられる「ハリアー」も同じでしょう。 でも自動車は陸を走るので、「ハリアー」と呼ばれる種類の猟犬にちなんで「ハリアー」と命名された可能性もあります。
詳しくは以下をご覧ください。1. 「ハリアー」の意味
1.1. 英語に戻すと
戦闘機の「ハリアー」も自動車の「ハリアー」も、英語に戻すと "harrier" です。
1.2. "harrier" の意味
"harrier" は名詞で、意味は次の通り:
- タカの一種・・・チュウヒ
- 猟犬の一種・・・ハリアー犬、ハリヤー犬(ウサギ狩りに用いられる)
- ヒトの一種・・・クロスカントリー(*)で走る人
- "harry" するもの(者/物)
"harry" の意味
"harry" は英語の動詞で、「攻撃を繰り返す」などを意味します。
ですので、4. の「"harry" するもの」は「攻撃し続けるもの」などの意味です。
2.「ハリアー」の語源
タカも猟犬も「"harry" するもの」の意味だろう。 そう思っていましたが、甘い考えでした。 もっと面倒でした。
2.1. タカの場合
「チュウヒ」を意味する "harrier" の語源として、次の2つの説があります:
- 前記 "harrier" の 4.の意味「"harry" するもの」が「チュウヒ」を意味するようになった。
- "harrower" という名詞に先述の動詞 "harry" が影響して、「チュウヒ」を意味する語 "harrier" が生まれた。
"harrower" の意味
"harrower" は「"harrow" する者/物」という意味ですが、この "harrow" という動詞の意味は3つに大別されます:
- 馬鍬を使って土地を耕す・・・「馬鍬(まぐわ)」という農機具を意味する名詞 "harrow" から転じた。
- (心や体に)大変な苦痛を与える、気を動転させる・・・「馬鍬で耕す」の意味の動詞 "harrow" から転じた意味。
- 奪う・・・古語。 この意味の "harrow" は語源が "harry" に近いとされる。
2.2. 猟犬の場合
「ウサギ狩りの猟犬」を意味する "harrier" の語源は、中世英語 "hayrer" または "hairer" あるいは "eirer" です。 これらの中世英語の意味は "harrier" と同じです。
"hayrer" または "hairer" あるいは "eirer" の語源は、よく分かっていません。 次の説があります:
- おそらく「放浪する者」を意味する古フランス語 "errier" が語源。
- 「野うさぎ」を意味する中世英語 "hare" が関与しているかも。
- 先述の動詞 "harry" の影響も疑われる。
- 「チュウヒ」を意味する "harrier" の影響もあったかもしれない。
2.3. クロカン走者の場合
「クロスカントリーの走者」の意味での "harrier" は、「猟犬」の意味での "harrier" に由来します。
ブリタニカ百科事典によると、"harrier" が「クロスカントリーの走者」を意味するようになった由来は、(ランニングの)クロスカントリーの起源にあるようです。
2.3.1. クロス・カントリーの起源
ランニングのクロス・カントリーの起源は19世紀の英国で子どもたちが考案した遊び "paper chasing(紙片の追いかけっこ)" 別名 "hares and hounds(野うさぎと猟犬)" です。
"paper chasing" は鬼ごっこのような遊びです。 「野うさぎ」役の子どもたちが逃げ出して数分後に、「猟犬」役の子どもたちが「野うさぎ」狩りに出かけます。
この遊びが "paper chasing" と呼ばれるのは、「野うさぎ」たちが逃げる道すがら、「猟犬」たちへのヒントとして紙片を落としておくからです。
2.3.2. 推測
ここからは私の推測になります(*)が、この「猟犬」が「ハリアー」と呼ばれたに違いありません。 英国で「ウサギを狩る猟犬」と言えば「ハリアー犬」だったはずですから。2.3.3. まとめ
- クロスカントリー(ランニング)の起源に当たる "paper chasing" で、「猟犬」役のことをハリアー犬にちなんで「ハリアー」と呼んだ(はず)。
- だから、クロスカントリーで走る人を「ハリアー」と呼ぶ。