「ゴッドスピード」や「ゴッドスピードユー」とは、一体どういう意味でしょうか?
1.「ゴッド スピード ユー/ラブ」の意味
1.1. 意味が分からない理由
「ゴッド スピード ユー」の元となる英語は "God" や "speed" や "you" で、これら1つ1つの意味は中学生でも知っています。
ところが、"God speed you" という組み合わせになると意味が分からなくなります。 「神様スピードあなた」では意味が分かりませんよね?
"God speed you." の意味を理解できない理由は次の2つです:
- 古語として(古い意味で)使われている単語がある。
- 省略されているモノがある。
この2点を以下に説明しましょう。
1.2. 古語
"speed" には「スピード、速度」という意味の他に、次のような古い(現代では一般に使われていない)意味があります:
- 【名詞】幸運・成功・繁栄
- 【自動詞】~が幸運である、~が成功する、~が繁栄する
- 【他動詞】~に幸運・成功・繁栄をもたらす、~を助ける、~に恩恵を与える
"speed" を他動詞の意味に解釈すると、"God speed you." は「神があなたに幸運・成功・繁栄をもたらす」という意味に理解できます。
しかし...
意味の方向性はこれで間違いありません。 ですが、これでは「ゴッド スピード ユー」の意味を100%理解できているとは言えませんし、英語の文法的に不審な点が残ってもいます。
「不審な点」とは「どうして "speed" が "speed" という原形のままなのか?」という点です。 "God" は三人称ですから、"God speed you/love" が「神が幸運・成功・繁栄をもたらす」という意味なら、 "speed" の語末に 三人称単数現在の "-s" が付いて "speeds" となるはずです。
この「不審な点」を解消する鍵が次に述べる「省略」です。
1.3. 省略
"God speed you." では、文の先頭に "May" という助動詞が省略されていると考えましょう。
"God speed you." は本来は "May God bless you." なのです。
不審点の解消
助動詞には動詞(この話では "speed")を原形に保つ作用があります。 "God speed you." の "speed" が "speeds" にならないのは、省略されている助動詞 "May" が密かに作用を発揮するからだったのです。
理解100%
したがって、"May God speed you." なら「神があなたに幸運・成功・繁栄をもたらしますように」という意味です。
2. 関連表現
2.1. "you" 以外も
2.2. ゴッド ブレス ユー
2.3. ゴッドスピード
吹奏楽の曲の名前などで「ゴッドスピード」だけがカタカナ語として使われますが、この「ゴッドスピード」は英語に戻すと "Godspeed"(あるいは "God-speed")です。
"Godspeed" は "May God speed you." から派生した言葉で、旅立つ人や困難に挑まんとする人などに幸運や成功を願うときに使われます。 "Godspeed" は現代でも使われます。