"once" が「一回」や「かつて」の意味だとすると理解できない文章が存在します。 例えば次の文:
"Once you begin, you'll enjoy it."
"begin" は「始める」、"enjoy" は「楽しむ」という意味です。 こうした単語の意味が分かっていても尚(なお)この文の意味が理解できないなら、あなたはきっと "once" の意味の全てを知ってはいません。 このページを読むのに適した人材です。
上記の例文の "once" の意味
上記の例文 "Once you begin, you'll enjoy it." の "Once" は、「(いったん)~したら」や「~ししだい」という意味です。
したがって "Once you begin, you'll enjoy it." の和訳は、「あなたがいったん始めれば、あなたはそれ(始めたこと)を楽しむでしょう」です。
この文を自然な日本語にすると「やり始めたら、きっと楽しいよ」となります。豊富すぎる例文集(例文数は13)
"once" が「~したら」の意味で使われている様々な例文です。# 環境少女グレタ(Greta)の発言。 "homework" には「宿題」の他に「下調べ」や「準備」という意味があります。
「地球環境について勉強すべきことを勉強してれば、今の環境政策なんかじゃダメってことぐらい誰にだって分かるはずよ」と言いたいのでしょう。# 「いったん~すれば」の意味の "once" が必ず文の先頭に来るわけではないことを示す例文です。
直訳は「それ(ドレッシング)が用意できたら、ドレッシングを冷蔵庫に入れます」# アインシュタインの名言だそうです。 面白いですね。 アインシュタインの名言は面白いものが多い。
"for once I know..." の部分は、"for" と "once I know..." に分断されます。 この "for" は「なぜなら」ぐらいの意味です。 "for" を "because" に置き換えると文を理解しやすくなります: "Because once I know the proper question, I could solve the problem in less than five minutes."
ただし、"for once" を見かけるたびに闇雲に分断するのではいけません。 文によっては、"for" と "once" が "for once" という熟語として使われている可能性もあります。 熟語の "for once" は「今回は例外的に、このひとたびはせめて」という意味です。 例. Why can't you be nice to her for once? 今回だけは彼女に好意的に接してやれないものだろうか?# ボクサーの発言です。 Ortiz も Fury もボクサーです。 Ortiz はORZに似ています。 胴が長い感じ。 Fury(「激怒」という意味がある)って本名なんでしょうか?
"Once I get rid of" が "Once I will get rid of" となっていない点に注目してください。 "When" や "If" に導かれる従属節で時制が未来であっても動詞に "will" が付かないのと同じです。
この例文では "I will get rid of Fury too" が主節で "Once(When) I get rid of Ortiz" が従属節です。 そして、"Once" を "When" に置き換えても意味が通じます。# この例文も "once you meet her" であって "once you will meet her" でない点に注目。
この例文の出所はファイナル・ファンタジーというゲームのテーマ曲の歌詞の一部です。 曲のタイトルは「Once you meet her」。"once" の意味/用法の見分け方
一目では見分けられない
"Once" が「(いったん)~したら」の意味で使われているかどうかを一目で見分ける方法はありません。
文中の位置では見分けられない
まず、上記のいくつかの例文でそうであったように、接続詞(いったん~したら)として使われる "once" が常に文の先頭に来るとは限りません。 文中に来ることもあります。
上に挙げた例文を再掲しておきましょう。接続詞の "once" は従属節を(↑の例文で言えば "once it's ready")を導きます。 従属節で文が始まるなら "once" が文の先頭に来ますが、主節で文が始まるなら "once" の位置は文の途中になります。
さらに、"Once" が文頭にあるからと言って接続詞(~したら)だとも限りません。 次の文で "Once" は「以前に一度、かつて」という副詞の意味で使われています。
時制でも見分けられない
接続詞として使われる "once" は「~すれば」や「~が済みしだい」という意味なので未来や現在の事柄に関する文に使われることが多いのは事実です。 しかし、時制から "once" の意味を判定しようとするのも危険極まりない行為です。 "once" が過去形の動詞と使われることもあるからです。
次の例文は過去形ですが、"once" が接続詞(~すると、~したら)です。「主語+動詞」の有無でも見分けられない
「once +主語+動詞」という構成かどうかで "once" の意味を識別することもできません。
2つ上の例文(Once I received a call from...)にしてもそうです。 「once +主語+動詞」という構造であるけれど、 "once" が「~すると」という接続詞ではなく「かつて」という副詞の意味です。
そして、「~すると」の意味の "once" が常に「主語+動詞」を伴うとも限りません。 次の文で "once" の後ろに「主語+動詞」がありませんが、"once" が「~すると」の意味で使われています。 「主語+動詞」が省略されているのです。やはり時制も「主語+動詞」も見分ける役に立たない
次の例文にいたっては、文全体が過去の出来事について述べているうえ "Once" の後ろに「主語+動詞」が来ていませんが、それでもこの "Once" は「~すると」という接続詞の意味です。"once" の意味を一目で見分けれるような局所的な手がかりは存在しないわけです。
でも心配ありません。 "once" の意味を一発で見分ける方法は存在します。
簡単な見分け方はある
"once" が「(いったん)~すると」という接続詞の意味で使われているかどうかを知るには、問題となっている "once" を "when" や "if" に置き換えてみればよろしい。
"once" を "when" や "if" に置き換えて文の意味が通じるなら、その "once" は「(いったん)~すると」という意味です。 文の意味が通じないなら、それ以外の意味です。
"once" の意味の一覧
最後に、"once" の一般的な意味を一通り記載しておきます:
- 一回、一度(副詞) 例. once a day(1日1回)
- 一回、一度(名詞) 例. Once is enough.(一度で十分だ)
- かつて、以前は(副詞) 例. ①I once had a dream. かつて私は夢を持っていた。 ②I could speak French once. 私は以前はフランス語を話せた。
- 一度なりとも、一度でも、~しようものなら(副詞) 例. if the facts once become known その事実が知られようものなら
- かつての、以前の(形容詞) 例. the once capital of the nation その国のかつての首都
- ~すると(接続詞)
- 今回、このたび(名詞) 例. ①You may do it, this once. それをしてもよい。今回は(今回に限り)な。 ②You can go just this once. 今回だけは行っていい。