「一回」や「かつて」では理解できない "once" の意味

"once" が「一回」や「かつて」の意味だとすると理解できない文章が存在します。 例えば次の文:

"Once you begin, you'll enjoy it."

"begin" は「始める」、"enjoy" は「楽しむ」という意味です。 こうした単語の意味が分かっていても尚(なお)この文の意味が理解できないなら、あなたはきっと "once" の意味の全てを知ってはいません。 このページを読むのに適した人材です。

上記の例文の "once" の意味

上記の例文 "Once you begin, you'll enjoy it." の "Once" は、(いったん)~したら」や「~ししだいという意味です。

したがって "Once you begin, you'll enjoy it." の和訳は、「あなたがいったん始めれば、あなたはそれ(始めたこと)を楽しむでしょう」です。

この文を自然な日本語にすると「やり始めたら、きっと楽しいよ」となります。
この "Once" は接続詞です。 「いったん~したら」の「いったん」は漢字で書くと「一旦」です。 接続詞の意味の "once" も「いったん(一旦)」も「」という意味合いが共通しています。 発想が同じなのでしょう。

豊富すぎる例文集(例文数は13)

"once" が「~したら」の意味で使われている様々な例文です。
Once you have done your homework, you realize that we need new politics.
(いったん)下調べを済ませれば、新しい政策が必要だと認識するわ。

# 環境少女グレタ(Greta)の発言。 "homework" には「宿題」の他に「下調べ」や「準備」という意味があります。

「地球環境について勉強すべきことを勉強してれば、今の環境政策なんかじゃダメってことぐらい誰にだって分かるはずよ」と言いたいのでしょう。
Once you get started, oh it's hard to stop.
いったん始めたら、オウ、中止するのは難しい。
# 誰かの歌の歌詞です。
Place the dressing in the fridge once it's ready.
用意したドレッシングは冷蔵庫に入れておきます。

# 「いったん~すれば」の意味の "once" が必ず文の先頭に来るわけではないことを示す例文です。

直訳は「それ(ドレッシング)が用意できたら、ドレッシングを冷蔵庫に入れます」
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Growing your own delicious vegetables is easy once you know a few tricks.
美味しい野菜を自分で育てるのは簡単です。 いくつかのコツさえ覚えればね。
# "once" の前後で文を2つに区切って訳してみました。
Everything is obvious (once you know the answer).
すべては明らかだ(いったん答えを知ればね)。
Once you have obtained the elven bow, return to the troll bridge and trade it for the sleeping potion.
エルフの弓を入手したら、トロールの橋へと戻り弓を眠り薬と交換するんだ。
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Once you are ready to download the images, you'll need to choose a subscription plan that fits your needs.
イメージ画像をダウンロードする準備が整ったら、ニーズに応じた購入プランを選んでください。
Once you confirm that the installation was successful, you're ready to write some PHP code.
インストールが成功したことを確認したら、PHPのコードを書く準備が整ったことになります。
This problem should be fixed in a future version and I will update this post to let you know once it is fixed.
この問題は今後のバージョンで修正するべきだね。 修正が済んだらこの投稿を更新して知らせるよ。
# 「投稿」とはブログの投稿か何かのことでしょう。
​The exact dates are yet to be confirmed but they will be within this time frame. More information will follow once it has been confirmed.
正確な(開催の)日付はまだ確認できていませんが、この期間内に開催されるはずです。 (日付の)確認が取れたら情報を追加します。
# 手漕ぎボートのレースに関するサイトの告知文です。

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If I had an hour to solve a problem and my life depended on it, I would use the first 55 minutes determining the proper question to ask, for once I know the proper question, I could solve the problem in less than five minutes.
問題を解くのに1時間を与えられ、その問題に私の人生がかかっているとしよう。 そんなとき、私は適切な質問の決定に最初の55分間を費やすだろう。 そうして適切な質問を決定しさえすれば、5分もかからずに問題(質問)を解けるだろうから。

# アインシュタインの名言だそうです。 面白いですね。 アインシュタインの名言は面白いものが多い。

"for once I know..." の部分は、"for" と "once I know..." に分断されます。 この "for" は「なぜなら」ぐらいの意味です。 "for" を "because" に置き換えると文を理解しやすくなります: "Because once I know the proper question, I could solve the problem in less than five minutes."

ただし、"for once" を見かけるたびに闇雲に分断するのではいけません。 文によっては、"for" と "once" が "for once" という熟語として使われている可能性もあります。 熟語の "for once" は「今回は例外的に、このひとたびはせめて」という意味です。 例. Why can't you be nice to her for once? 今回だけは彼女に好意的に接してやれないものだろうか?
Once I get rid of Ortiz, I will get rid of Fury too.
Ortiz をやっつけたら Fury もやっつけてやる。

# ボクサーの発言です。 Ortiz も Fury もボクサーです。 Ortiz はORZに似ています。 胴が長い感じ。 Fury(「激怒」という意味がある)って本名なんでしょうか?

"Once I get rid of" が "Once I will get rid of" となっていない点に注目してください。 "When" や "If" に導かれる従属節で時制が未来であっても動詞に "will" が付かないのと同じです。

この例文では "I will get rid of Fury too" が主節で "Once(When) I get rid of Ortiz" が従属節です。 そして、"Once" を "When" に置き換えても意味が通じます。
And once you meet her, you will find that something inside is changing.
そして彼女に会えば、キミの中で何かが変わってゆくのが分かることだろう。

# この例文も "once you meet her" であって "once you will meet her" でない点に注目。

この例文の出所はファイナル・ファンタジーというゲームのテーマ曲の歌詞の一部です。 曲のタイトルは「Once you meet her」。

"once" の意味/用法の見分け方

一目では見分けられない

"Once" が「(いったん)~したら」の意味で使われているかどうかを一目で見分ける方法はありません。

文中の位置では見分けられない

まず、上記のいくつかの例文でそうであったように、接続詞(いったん~したら)として使われる "once" が常に文の先頭に来るとは限りません。 文中に来ることもあります。

上に挙げた例文を再掲しておきましょう。
Place the dressing in the fridge once it's ready.
用意したドレッシングは冷蔵庫に入れておきます。

接続詞の "once" は従属節を(↑の例文で言えば "once it's ready")を導きます。 従属節で文が始まるなら "once" が文の先頭に来ますが、主節で文が始まるなら "once" の位置は文の途中になります。

さらに、"Once" が文頭にあるからと言って接続詞(~したら)だとも限りません。 次の文で "Once" は「以前に一度、かつて」という副詞の意味で使われています。

Once I received a call from someone spiritually recognized as representatives of the LAPD/FBI.
以前に私はスピリチュアル的にLAPD/FBIの者だと分かった人物から電話を受けたことがある。
# James L. Avery という霊能力者の著書の一文。 「スピリチュアル的」には「霊能力で」という感じでしょう。 LAPDはロス市警。 FBIはみんな知ってるFBI。

時制でも見分けられない

接続詞として使われる "once" は「~すれば」や「~が済みしだい」という意味なので未来現在の事柄に関する文に使われることが多いのは事実です。 しかし、時制から "once" の意味を判定しようとするのも危険極まりない行為です。 "once" が過去形の動詞と使われることもあるからです。

次の例文は過去形ですが、"once" が接続詞(~すると、~したら)です。
I knew that once I received these images I was going to be in tears merely because these images mean a lot to me.
私にはわかってた。 これらの画像を受け取ったら、画像が私にはとても大切だというそれだけの理由で私は泣いてしまうって。
# この "once" は過去形の動詞と一緒に使われていますが、「(いったん)~すると」という意味です。 この "once" は "when" に置き換え可能です。

「主語+動詞」の有無でも見分けられない

once +主語+動詞」という構成かどうかで "once" の意味を識別することもできません。

2つ上の例文(Once I received a call from...)にしてもそうです。 「once +主語+動詞」という構造であるけれど、 "once" が「~すると」という接続詞ではなく「かつて」という副詞の意味です。

そして、「~すると」の意味の "once" が常に「主語+動詞」を伴うとも限りません。 次の文で "once" の後ろに「主語+動詞」がありませんが、"once" が「~すると」の意味で使われています。 「主語+動詞」が省略されているのです。
Each person is given dough to flatten and shape for cooking. Once ready, the bread is placed over a wood fire on a special oven used by shepherds.
各人がパン生地を与えられて、それを平らにして形を整えて焼けるようにする。 準備ができたら、パンを羊飼いの特製オーブンに入れて焚き火の上に設置する。
# "Once ready" は "Once it is ready" の省略でしょう。

やはり時制も「主語+動詞」も見分ける役に立たない

次の例文にいたっては、文全体が過去の出来事について述べているうえ "Once" の後ろに「主語+動詞」が来ていませんが、それでもこの "Once" は「~すると」という接続詞の意味です。
Once unlocked, the door opened easily.
解錠が済むと、ドアは簡単に開いた。
# "Once" の後ろに "it had been" が省略されています。
さらに、次の例文は「Once+過去分詞」という構造が1つ上の例文と同じですが、"once" が「~すると」という意味ではありません
Once adored but now forgotten
かつては敬愛され、しかし今では忘れられた
# この用例の "Once" は「かつて、以前は」という意味。 「Once +形容詞」が常に「いったん~になったら」の意味になるわけではないことを示すための用例です。 この用例は完全な文ではありません。 文の一部。

"once" の意味を一目で見分けれるような局所的な手がかりは存在しないわけです。

でも心配ありません。 "once" の意味を一発で見分ける方法は存在します。

簡単な見分け方はある

"once" が「(いったん)~すると」という接続詞の意味で使われているかどうかを知るには、問題となっている "once" を "when" や "if" に置き換えてみればよろしい

"once" を "when" や "if" に置き換えて文の意味が通じるなら、その "once" は「(いったん)~すると」という意味です。 文の意味が通じないなら、それ以外の意味です。

接続詞の "once" は「"whenever" や "as soon as" に置き換え可能」と説明している辞書が多く、「"when" や "if (ever)" に置き換え可能」としている辞書は少数派ですが、今回この記事を書くにあたり集めた例文を見ると、"whenever" や "as soon as" よりも "when" や "if (ever)" に置き換えるほうが意味の通りが良いケースが多いように思います。

"once" の意味の一覧

最後に、"once" の一般的な意味を一通り記載しておきます:

  1. 一回、一度(副詞) 例. once a day(1日1回)
  2. 一回、一度(名詞) 例. Once is enough.(一度で十分だ)
  3. かつて、以前は(副詞) 例. I once had a dream. かつて私は夢を持っていた。 I could speak French once. 私は以前はフランス語を話せた。
  4. 一度なりとも、一度でも、~しようものなら(副詞) 例. if the facts once become known その事実が知られようものなら
  5. かつての、以前の(形容詞) 例. the once capital of the nation その国のかつての首都
  6. ~すると(接続詞)
  7. 今回、このたび(名詞) 例. You may do it, this once. それをしてもよい。今回は(今回に限り)な。 You can go just this once. 今回だけは行っていい。