質問. 「メイクセンス」って、どういう意味ですか?
回答.「意味を為(な)す」 という意味です。 ですが、それでは説明が付かないケースがあります。
詳しくは以下をご覧ください
1.「メイクセンス」の用例
まず、カタカナ語「メイクセンス」の用例を4つ見てみましょう。 いずれもネットで収集してきた実例です。
4つの用例
- 「実際に筋は通るし、メイクセンスするよ!」
- 「みんながメイクセンスするまでに時間がかかってしまって、まあ大変でした」
- 「ヨコサワがメイクセンスするタイミングで、毎回客席でメイクセンスしてる人がいたって話聞いてジワジワきてる」
- 「その文章はメイクセンスするか?」
用例 1. と 4.
用例 1. と 4. は「意味を為(な)す」に置き換えてスムーズに意味が通ります。
- 「実際に筋は通るし、意味を為すよ!」
- 「その文章は意味を為すか?」
用例 2. と 3.
ですが、用例 2. と 3. はどうでしょうか?
- 「みんなが意味を為すまでに時間がかかってしまって、まあ大変でした」
- 「ヨコサワが意味を為すタイミングで、毎回客席で意味をなしてる人がいたって話聞いてジワジワきてる」
なんとなく意味が分かる気もしますが、明らかに日本語として変です。
2. 意味が通らない理由
例文 1. と 4. は「意味を為す」に置き換えて意味が通るのに 2. と 3. で通らないのは、2. と 3. が「意味を為す」ではなく「理解する」という意味で使われているからです。
次に示すように、例文 2. と 3. は「メイクセンス」を「理解する」に置き換えると意味が通ります:
- 「みんなが理解するまでに時間がかかってしまって、まあ大変でした」
- 「ヨコサワが理解するタイミングで、毎回客席で理解する人がいたって話聞いてジワジワきてる」
3.「メイクセンス」を正しく使っているのは?
「メイクセンス」の使い方として正しいのは、例文 1. と 4. のほうです。 例文 2. と 3. は完全な誤用ではありませんが問題があります。
例文 2. と 3. が抱える問題を明確にするため、次のセクション 3.1. で「メイクセンス」の原語 "make sense" について説明します。
3.1. "make sense" について
構成
「メイクセンス」を英語に戻すと "make sense" です。
"make sense" は "make" と "sense" から成ります:
- make・・・「作る、為す、~させる」などを意味する動詞
- sense・・・「感覚、意味、分別」などを意味する名詞
基本的な意味
"make sense" を逐語訳すると「意味を為す」です。
しかし実際には、"make sense" の意味はこれだけではありません。
実際の意味
"make sense" の意味は次の2つに大別されます:
- 意味を為す、筋が通る、妥当である
- 理解する
したがって、「メイクセンス」を「理解する」の意味で使うのも間違いではありません。 ですが...
条件がある
"make sense" を「理解する」の意味で使うには1つ条件があります。
この条件を明らかにするため、"make sense" を「意味を為す」の意味で使うケースと「理解する」の意味で使うケースを次で比較してみましょう。
3.2.「意味を為す」と「理解する」の使われ方
「意味を為す」
「理解する」
3.3.「理解する」の問題点
お分かりでしょうか? 「理解する」の "make sense" と「意味をなす」の "make sense" は次の2点で異なります:
- 主語が人かどうか
- 前置詞 "of" が使われているかどうか
"make sense" をカタカナ語として使うときに問題となるのは 2. の「"of" の有無」です。
"make sense" を「理解する」の意味で使うには「~を理解する」の「~を」の部分に相当する "of" が必須です。 "make sense" だけでは「意味を為す」の意味にしかならず、「理解する」の意味には使えません。
4. 使われ方の確認
カタカナ語「メイクセンス」の実例を次に示します。 「メイクセンス」を「意味をなす」または「理解する」に置き換えてみましょう。
4.1.「意味をなす」
- 「トランプ夫妻もやっとメイクセンスするおしゃべりが出来たろうね」
- 「アメリカ政府の提案はメイク・センスする」
- 「とてもメイク・センスする」
- 「経営という観点からはメイクセンスする投資」
- 「アーモンドチョコの意図だけ不明でしたが、スペイン人は確かにチョコ好きなのでメイクセンスするのかな」
4.2.「理解する」
- 「ニンゲンをメイク・センスする」
- 「その進化の中でBLACK Co., Ltd.が常に念頭に置いてきたのは、(中略)進化の更に先にあるエポックメイキングをいち早くメイクセンスする、ということです」
- 「メイクセンスしてない人に自分の論理をいくら説明してもメイクセンスするわけではない」
- 「ウエブマーケーティングって奥が深くて、話を聞いてて、おーそうかと納得!とメイクセンスすることがいっぱいでした」
5. まとめ
5.1. 結論
"make sense" だけでは「意味を為す」の意味しかなく、「理解する」の意味にしたければ "of" を加えて "make sense of" とする必要があります。
よって、"make sense" だけをカタカナにした「メイクセンス」を「理解する」の意味で用いるのは無理があります。5.2. 提言
「メイクセンス」の意味の混乱を防ぐため、「理解する」の意味で「メイクセンス」を使う場合には、「オブ」を加えて「メイクセンスオブ」とすることを提案いたします。
「理解する」の意味で使われる「メイクセンス」に「オブ」を加えると次の通り:
- 「ニンゲンをメイク・センス・オブする」
- 「みんながメイクセンスオブするまでに時間がかかってしまって、まあ大変でした」
- 「ヨコサワがメイクセンスオブするタイミングで、毎回客席でメイクセンスオブしてる人がいたって話聞いてジワジワきてる」
- 「その進化の中でBLACK Co., Ltd.が常に念頭に置いてきたのは、(中略)進化の更に先にあるエポックメイキングをいち早くメイクセンスする、ということです」
- 「メイクセンスオブしてない人に自分の論理をいくら説明してもメイクセンスオブするわけではない」
- 「ウエブマーケーティングって奥が深くて、話を聞いてて、おーそうかと納得!とメイクセンスオブすることがいっぱいでした」
メイクセンスオブ。 なかなか素敵な音の響きじゃないですか。 「ニンゲンをメイク・センス・オブする」とか「エポックメイキングをいち早くメイクセンスオブ」とかカッコいいですよね。