「インディスペンサブル」の意味や由来を教えて!

質問:「インディスペンサブル」とは、どういう意味ですか?

回答:「必要不可欠な」などの意味です。

詳しくは以下をご覧ください。

1. 英語に戻すと

「インディスペンサブル」を英語に戻すと "indispensable" です。

2. 用例

Meat is not indispensable for maintaining a healthy diet.
肉は健康的な食生活の維持に不可欠というわけではない。
Mobile phones have become an indispensable part of our lives.
携帯電話は我々の生活の欠くべからざる一部となっている。
She made herself indispensable to the department.
彼女は自らを、その部署にとって必要不可欠な人材にした。

3. 言葉の成り立ち

"indispensable" は "in-" と "dispensable" から成ると見なせます:

  • in- ・・・ 意味を反転させる接頭辞
  • dispensable ・・・「無くても済ませられる」や「与えるのが可能な」などを意味する形容詞

"dispensable" の成り立ち

"dispensable" はさらに、"dispense" と "-able" に分解可能です:

  • dispense ・・・「与える」などを意味する動詞
  • -able ・・・「可能」を意味する接尾辞

4. 言葉の歴史

4.1.「規則の例外として認められない」の意味

"indispensable" という語が生まれたのは16世紀前半。 当初の意味は「(主にキリスト教の教会内で)規則の例外として認められない」だったと思われます。 現代では、"indispensable" はこの意味では用いられません

"indispensable" に「例外として認められない」という意味があるのは、英語の名詞 "dispensation" に「与えること、配ること」のほか「例外として規則や義務を免除すること」という意味があるため。

"dispensation" の「規則や義務を免除すること」という意味の由来は、中世ラテン語の動詞 "dispendere"("dispendere" は "dispēnsāre" の語源)。 "dispendere" は中世のキリスト教の教会で用いられた言葉で、意味は「①禁じられていることを行う許可や、②義務を行わずに済ませる許可を(教皇や司教などが)与える」。

"dispensation" の形容詞型が "dispensable"。 意味は「規則や義務を例外的に免除できる」。 この "dispensable" に "in-" が付き意味が逆転したのが「規則の例外として認められない」の意味での "indispensable"。

4.2.「必要不可欠な」の意味

"indispensable" に「必要不可欠な」の意味が備わったのは17世紀末とされます。

4.3.「規則や義務を例外的に免除できる → 必要不可欠な」ではない

"dispensable" が「規則や義務を例外的に免除できる」の意味で使われ出したのは16世紀前半。 "indispensable" が「規則の例外として認められない」の意味で使われ出したのと同時期

"dispensable" が「無しで済ませられる」の意味(*) で使われ出したのは17世紀半ば。 "indispensable" に「必要不可欠な」の意味が備わる数十年前です。

"indispensable" という単語の中で「規則や義務を例外的に免除できる」の意味から「必要不可欠な」の意味へと発展したのでなく、それぞれの意味が "dispensable" の2つの意味から生まれたのでしょう。
(*) 「与えるのが可能 → 自分には不要 → 無しで済ませられる」という連想で生まれたと思われる。

5. その他の意味

5.1.「避けられない、無視できない」

"indispensable" には「(義務・規則・儀式などについて)避けられない、無視できない」という意味もあります。
「規則の例外として認められない」の意味に由来する意味です。

『Longman』など平易な(日常的な)意味を重視する辞書は "indispensable" の項にこの意味を記載していません。 "indispensable" が、この意味ではあまり使われないわけです。

5.2. 名詞としての意味

このページを書くにあたり参考にした7つの辞書のうち4つは、"indispensable" の項に「必要不可欠な人や物」という名詞としての意味を記載しています。

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