目次
- 「エモーショナル」と "emotional"
- 「エモい」と「エモーショナルな」の違い
1.「エモーショナル」と "emotional"
1.1. カタカナ語「エモーショナル」の意味
国語辞典に記載されるカタカナ語「エモーショナル」の意味は次の通り:
- 小学館のデジタル大辞泉: 感情に動かされやすいさま。感情的 (用例. 「エモーショナルな言動」)
- 三省堂の大辞林: 感情的なさま。情緒的なさま
- 実用日本語表現辞典: 「感情的な」「情緒的な」「感動的な」などに対応する意味 (用例. 「エモーショナルな文章」「その人のエモーショナルな部分」「エモーショナルな気持ちになる」)
ただし実際には、「エモーショナルな問題」や「エモーショナルな事件」など上記に当てはまらない使い方もなされます。
1.2. "emotional" の意味
「エモーショナル」を英語に戻すと "emotional"。 この "emotional" の意味を整理すると次の7つ:
- 感情に関する~、感情面での~(例. 「感情面の問題」や「感情の決壊」など)
- 感情的になりやすい~
- 過度に感情的になる~(感情的になったときの程度がはなはだしい)
- 人々に感情を引き起こす~(例. 社会的問題や事件など)
- (作為的に)強い感情を引き起こすことを狙った~、(作為的ではなく)感動的な~ (例. 映画・小説・演説・嘆願など)
- 強い感情が表れた~(例. 別れなど)
- 理屈ではなく感情にもとづく~(例. 議論や決定など)
1.3. "emotional" と「エモーショナル」の比較
国語辞典が記載するカタカナ語「エモーショナル」の意味は英語 "emotional" の意味の全てをカバーしてはいません。
ですが、「エモーショナルな問題」や「エモーショナルな事件」などの用例があることから、カタカナ語「エモーショナル」がカバーする意味の範囲は広がりつつある(英語 "emotional" に近づきつつある)と言えそうです。
2.「エモい」と「エモーショナルな」の違い
若者言葉「エモい」は「エモーショナルな」が短縮されて生まれた言葉です。
「エモい」は「エモーショナルな」と違って、英語の "emotional" の意味すべてに対応してはいません。 「エモい話」や「エモい映画」という使われ方はしますが、「エモい(感情的になりやすい)人」や「エモい(感情的な)議論」という使い方はしません。
つまり、「エモい」は「エモーショナルな」の意味のうち「感動的な、強い感情を引き起こす」の意味だけを受け継ぐ言葉です。