「ドープ」の意味は? 語源は?「ドーピング」との関係は?

質問.ドープ」って、どういう意味ですか?

回答.麻薬」などの意味です。 詳しくは以下をご覧ください。

1.「ドープ」の意味

「ドープ」は "dope" という英語をカタカナにした言葉です。

"dope" の意味は次の通りです:

1.1. 名詞としての意味

  1. ドロリとした液状あるいはペースト状のもの(例えば塗料や潤滑剤など)
  2. 麻薬
    英国では "dope" は通例マリファナ(大麻)を指すが、米国ではヘロインのことも "dope" と呼ぶ。
  3. (スポーツや競馬などにおいて)パフォーマンスを左右する目的で人や動物に投与される薬物
    ステロイド剤・鎮静剤・利尿剤など。 自陣営に用いてパフォーマンスを向上させたり、敵陣営に薬を盛ってパフォーマンスを低下させたり。「ドープ・テスト(dope test)」の「ドープ」は、この「薬物」の意味。
  4. 愚かな人、バカ、アホ
    例文. "You shouldn't have told him, you dope!" あいつに言っちまったのかよ、アホウ!
  5. 《主に米国》 秘密の情報(タレコミで得られる情報など)、インサイダー情報裏情報(一部でのみ流通している情報)
  6. 《米国南部で》 コカコーラなどの炭酸飲料
  7. 《米国の一部で》 デザートのトッピング(アイスクリームにかけるチョコレート・ソースなど)

1.2. 形容詞としての意味

  1. 素晴らしい、とても良い
    例. "This music is dope." この曲は極上だぜ/絶品だぜ/とても良いわ。

1.3. 動詞としての意味

  1. ドロリとした何かを使う
    前述の名詞 1. の意味に対応する意味。
  2. (人や動物に)スポーツなどのパフォーマンスに影響する薬物を投与する
    名詞 3. に対応する意味。
  3. (睡眠薬や鎮静剤などの)薬を投与するこっそり薬を盛る
  4. 麻薬を使う
  5. ("dope out" で)突き止める、解明する

2.「ドーピング」との関係

「ドーピング」を英語に戻すと "doping"。 この "doping" は、上述の動詞 2. の意味の "dope" に "-ing" が付いて動名詞となったものです。

動名詞は「~すること」と訳されるので、"doping" は「スポーツなどのパフォーマンスに影響する薬物を投与すること」という意味になります。

3.「ドープ」の語源

"dope" という言葉は英国ではなく米国(1)で生まれました。 "dope" の語源は「ディップ(2)用の濃いソース」を意味するオランダ語 "doop" です。

(1) 米国ニューヨーク市はかつてオランダの植民地で「ニュー・アムステルダム」と呼ばれていました。 その関係で、アメリカ生まれの英語にはオランダ語由来の言葉が少なくありません。 「ボス(boss)」にしても、あなたの大好物「クッキー(cookie)」にしても、由来はオランダ語です。

(2)ディップ(dip)」とは例えば、串カツを食べる前に容器に入ったソースに浸すとか、チキンナゲットを食べる前に皿に入ったケチャップに付けるといった「ちょっと浸す」動作のことです。

「ちょい付け」用のソースは英語で "dipping sauce" や "dip" と言います。 この「ソース」の意味の "dip" は「ディップ」というカタカナ語で定着しています。

4.「ドープ」の意味が生まれた順序

4.1. グレイビー・ソース(現在では用いられていない意味)

米国で "doop" から "dope" が生まれたのは19世紀ですが、19世紀の間ずっと "dope" は「グレイビー・ソース(肉汁を利用したソース)」の意味で使われていました。(名詞 7. の意味は、その名残りです)
"dope" から「グレイビー・ソース」の意味は失われている模様です。 "dope" の項に「グレイビー・ソース」の意味を載せている辞書は見当たりませんでした。

4.2. 薬のシロップとコカコーラ

19世紀のうちに、"dope" は「(ドロリとした)薬のシロップ」の意味でも用いられるようになりました。 "dope" に「コカコーラ」の意味があるのは、その影響です(*)

(*) コカ・コーラの生みの親 John Pemberton(1831~1888年)は薬剤師で、モルヒネ(依存性が問題となる)の代替物を目指してコカ・コーラを考案しました。

当初のコカ・コーラはコカの葉とコーラの実を成分として含む薬理作用のある飲料でした(1909年までコカコーラは微量のコカインを含有していました)。

4.3. 麻薬とバカ

"dope" は 1889年には既に「麻薬」の意味で使われていました。 ペースト状の大麻が名詞 1. の意味(ドロリとした液状またはペースト状のもの)に合致したためと考えられます。

"dope" の「バカ」の意味は 1851年の用例が確認されています。「麻薬」の意味より「バカ」の意味のほうが早かったわけです。 ですから、『麻薬でバカになるから "dope" に「バカ」の意味が備わった』という説は誤りでしょう。
「麻薬」の意味が「バカ」の意味より先に生まれていないと、『麻薬でバカになるから "dope" に「バカ」の意味が備わった』という説は成立しません。

4.4. インサイダー情報

名詞 5. の意味(秘密情報、インサイダー情報)は 1900年代初頭に競馬がらみで誕生したと考えられています。 「どの馬がドーピングされたかに関する情報」のことを "dope" と呼んだのです。
競馬でお金を掛ける前にドーピングされた馬の情報を掴(つか)んでおけば、賭けに勝つ見込みがグンと高まります。

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