質問.: 「バスタード」の意味を教えてください。
回答.: もともとの意味は「私生児」です。
「私生児」の意味から転じて、「バスタード」は罵りの言葉(「クソ野郎」など)として用いられるようになりました。
詳しくは以下をご覧ください。
1. 英語に戻すと
「バスタード」を英語に戻すと "bastard" です。
2. 詳しい意味
"bastard" の詳しい意味は次の通りです:
- 私生児(法律的に夫婦と認められていない男女から生まれた子供。 非嫡出子)
- 混血、雑種(人に対しても動物に対しても使われる)
- クソ野郎(主に男性に対して使われる)
- 奴、ヤツ(「幸運な奴」や「可哀想なヤツ」など。 主に男性に対して使われる)
- とても大変/困難/嫌なもの(仕事など)
- (様式、ファッション、文化などについて)生粋でないもの、起源が怪しい(由緒が正しくない)もの
- まがい物、偽造品、劣悪なもの
上記の意味はすべて名詞としての意味です。
"bastard" には形容詞としての意味もあります。「私生児の~、まがい物の~、(サイズや形などが)不揃いの~、~モドキ(生物名に使われる)」などです。
3. カタカナ語の「バスタード」
カタカナ語の「バスタード」は、もっぱら「クソ野郎」の意味です。
マンガ「バスタード」
マンガ雑誌「少年ジャンプ」に連載されていた(されている?)「バスタード」というマンガは「私生児」の意味です。 このマンガの副題が「闇の私生児」ですから間違いありません。4. "bastard" の語源
少なくとも2つの仮説があります。仮説①
1つ目の仮説によると、"bastard" の語源は「結婚」を意味するフランク語 "bāst" です。
この "bāst" から、「非嫡出子(法的に認知されない子)」を意味するアングロ・ノルマン語 "bastard" を経て、英語の "bastard" が成立しました。
「結婚」を意味するフランク語 "bāst" から「非嫡出子」を意味するアングロ・ノルマン語 "bastard" が生まれる過程には、古代ゲルマン民族の一夫多妻制の習慣(キリスト教的には認められない)が関与したと考えられています。
仮説②
2つ目の仮説によると、"bastard" の語源は「荷物用の鞍」を意味する古フランス語 "fils de bast" です。 「馬やロバなどの動物に荷物を運ばせるのに用いる鞍(くら)のうえで(いわば非公式に)行われた生殖行為の結果生まれた子供が私生児」というわけです。
大昔の旅行では鞍がベッドを兼ねることがありました。
5. "bastard" の歴史
"bastard" は当初は必ずしも悪い意味ではありませんでした。 このことは、英国の公式文書でノルマン朝の初代イングランド王ウィリアム1世(William the Conqueror)を指して "William the Bastard" と呼んだことからも分かります。
"bastard" が比喩的に「生粋(きっすい)でないもの」の意味で使われ出したのは14世紀後半とされます。
"bastard" が罵りの言葉として使われた最古の用例は 1830年です。