質問:「ペイフォワード」とは、どういう意味ですか?
回答:「誰かに親切にしてもらったのを、その誰かではない別の人にお返しする」という意味です。 言葉の由来など詳しくは下記をご覧ください。
1. 英語に戻すと
「ペイフォワード」を英語に戻すと、"pay it forward" または "pay forward"。 どちらも慣用句です。2. 直訳
"pay" が「支払う」という意味で、"forward" は「前方へ、先へ」という意味です。
"pay it forward" を直訳すると「それを前方へ(先へ)支払う」で、意味が分かりません。
"pay it forward" という表現と冒頭に記載した意味との関係を理解するには、この表現の由来を知る必要があります。
3. "pay it forward" の由来
"pay it forward" はリリー・ハーディー・ハモンドという女性が造ったフレーズです。 彼女は 1916年に出版した著書『In the Garden of Delight』で、このフレーズを始めて使いました。
この表現が初めて使われた文章は次のもの:注釈
注1
"pay it forward" の "it" は本来「愛(love)」を指すわけです。 現在では "pay it forward" は慣用句なので、"it" が何を指すかは意識されません。
注2
"repay" の意味は次の通り:- 借金を返済する
- お返しする、恩を返す
"repay" は "pay back" と大体おなじ意味。 "back" は "forward" の反対の意味の言葉。
4. 考察
4.1. "forward" について
"pay it forward" に "forward" が使われるのは、このフレーズがそもそも「親の世代 → 自分の世代 → 子供の世代」という具合に先の(forward)世代に順々に愛を送っていくイメージだったからでしょう。現在では "pay it forward" は「親世代 → 子世代」に限らず「誰かに親切にしてもらったのを、その誰かではない別の人にお返しする」こと全般を意味します。
「縦の "pay"」と「横の "pay"」
現在の "pay it forward" でフレーズ全体の意味に "forward" の意味が馴染まないのは、"pay it forward" の意味の範囲に世代間の縦の "pay" だけでなく社会を横断する横の "pay" も含むからだと思います。
縦の "pay" では親世代と子世代の対比が鮮明(親の対義語は子)で、親世代が "back" なら子世代は "forward" と言えます。 でも、横の "pay" ではそのような方向性がないので、"forward" と言われても「え? どっち方向が "forward" なの?」となります。
4.2. "pay it forward" と「因果応報」
現在の "pay it forward" は「因果応報」と似ています。
「因果応報」とは「善行をすれば良い報いがあり、悪行を働けば悪い報いがある」というもの。
自分の行為の影響が直接的に自分に返って来るのではなく巡り巡って間接的に返って来る点で "pay it forward" と「因果応報」は同じです。