質問.「ブランチ」とは、どういう意味ですか? 「食べる」という言葉と一緒に使われるので食べ物に関わる意味だと思うのですが...
回答. カタカナ語「ブランチ」の元となる英語には次の3つがあります:
- brunch
- branch
- blanch
1. 3つの「ブランチ」
1.1. あなたが遭遇した「ブランチ」は...
「食べる」と一緒に使われていたのなら、あなたが遭遇した「ブランチ」は "brunch" です。 "brunch" は「朝食と昼食を兼ねた食事」という意味の名詞です。
1.2. 残る2つの「ブランチ」
"branch"
"branch" は「枝」という意味で、この意味から転じた「枝分かれしたもの(部門・分野・川の支流など)」という意味も持ちます。"branch" は基本的には名詞ですが、動詞(「枝分かれする」など)としても使われます。
"blanch"
"blanch" は動詞で次のような意味を持ちます:
- (野菜などを)ゆがく
- (アスパラガスなどの野菜を)日光に当てず色白に育てる
- (衣類や頭髪などを)漂白する、脱色する
- (カーテンなどが)日光で色褪せる
"blanch" には他にも意味がありますが割愛(かつあい)します。
2.「食事」の意味の「ブランチ」
以下は、「食事」の意味での「ブランチ」を自信を持って使いこなすための雑学です。
2.1. いつ食べるのが「ブランチ」なの?
いつ食べる食事を "brunch" と見なすのか? それは辞書によって見解が異なります。 7つの辞書で調べて、3つのパターンが見つかりました:
- "brunch" は午前中の遅い時間帯に食べるもの
- "brunch" は午前中の遅い時間帯、または午後の早い時間帯に食べるもの
- 時間帯の指定なし
多くの辞書は 1. の見解を採用しています。
「午前中の遅い時間帯」とは?
「午前中の遅い時間帯」は英語で "late morning" ですが、"late morning" は辞書に載っていない表現です。 日本語の「昼前」と同じく、具体的な数字(時間)が公的に定まっていないのです。
ネットで検索すると、"late morning" は次のいずれかを意味することが多いようです:
- 午前10時から午前11時59分まで
- 午前11時から午前11時59分まで
2.2. "brunch" の成り立ちと起源
成り立ち
"brunch" は「朝食(breakfast)」と「昼食(lunch)」を組み合わせた言葉です。起源
"brunch" は19世紀末に英国の大学生の間で生まれました。
普及
上述のように、"brunch" が生まれたのは米国(アメリカ)ではなく英国(イギリス)ですが、米国でも "brunch" という語は使われます。
さらに "brunch" は、そのままの意味と綴(つづ)りでフランス語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語・オランダ語などで使われています。
2.3. 第4の「ブランチ」→ "blunch"
"brunch" という言葉が生まれた当初(1894年ごろ)、英国オックスフォード大学の学生の間では "blunch"("r" ではなく "l")という言葉も使われていました。
朝食に近い時間帯に食べる「朝昼兼用の食事」を "brunch" と呼び、昼食に近い時間帯に食べる「朝昼兼用の食事」を "blunch" と呼んで区別したのです。