「アボカド」という名称の意味と由来を説明します。
1.「アボカド」とは?
アボカド(学名: Persea americana)は果物です。 アボカドの果皮は黄色っぽい緑~黒色で、果実の中に大きな種が1つ入っています。
アボカドはメキシコ原産(*)ですが、現在では熱帯~地中海の世界各地で栽培されています。
(*) ヨーロッパ人がアメリカ大陸に到来する前に、アボカドの栽培は先住民の手によりメキシコ南部から南下してペルーにまで広まっていた。
2. 英語では?
「アボカド」を英語に戻すと "avocado" です。
"avocado" の意味は次の通り:
- 《名詞》アボカドの果実
- 《名詞》アボカドの木
- 《名詞》アボカド色(オリーブ色のような色)
- 《形容詞》アボカド色の
3. 言葉の由来
3.1. 語源はナワトル語
メキシコの先住民は1万年前からアボカドを食べていましたが、彼らの使うナワトル語で、アボカドは "āhuacatl" と呼ばれています。 面白いことに、"āhuacatl" という語には「睾丸(金玉)」という意味もあります。 アボカドの果実の形状が金玉(きんたま)に似るからでしょう。
3.2. ナワトル語からスペイン語へ
ヨーロッパ人(スペイン人)がアボカドの存在を知ったのは16世紀前半のこと。 スペイン人はアボカドを "aguacate" と呼びました。 スペイン語 "aguacate" はナワトル語 "āhuacatl" に由来します。
3.3. スペイン語から英語へ
17世紀末にスペイン語の "aguacate" が "avocado" として英語に輸入されました。 "aguacate" から "avocado" への変化には、スペイン語で「弁護士」を意味した "avocado"(*)が影響したとされます。
(*) "avocado" を「弁護士」の意味で用いるのは古いスペイン語です。 現代のスペイン語では「弁護士」のことを "abogado" と言います。
"avocado" という言葉が「果実のアボカド」の意味で(文書として記録に残る形で)初めて使われたのは 1696年に書かれた書物(*)です。 著者は英国の博物学者 Hans Sloane(彼は医師でもあった)です。 この書物はラテン語で書かれていたので、Sloane は英語ではなくラテン語として "avocado" という語を使ったことでしょう。
(*) ジャマイカ(メキシコの西にあるカリブ海に浮かぶ島)の植物誌。