質問:「ショートケーキ」や「(電気が)ショートする」や「(株やFXの)ショート」などの「ショート」とは、どういう意味ですか?「短い」でいいですか?
回答: どれも意味が異なります。 以下をご覧ください。
1. 英語に戻すと
上述の「ショート」はいずれも、英語に戻すと "short"。 この "short" に色々な意味があります。
"short" の色々な意味を次に記載します。
2. "short" の意味
英語の "short" の意味のうちカタカナの「ショート」で使われるのは次の通り:
- 《形容詞》短い
- 《形容詞》不足して(相場、ゴルフ)
- 《名詞、動詞》ショート(する)(電気回路)
- 《形容詞》もろい、口溶けが良い(ケーキ)
次に、それぞれの意味を説明します。
3. 解説
2.1. 短い
「短い」は "short" の代表的な意味。
例えば、次の「ショート」の意味が「短い」です:
- ショートソード(短剣)
- Youtube 動画の「ショート」
- ショート・ストーリー(短編小説)
- ショートショート(超短編小説)
2.2. 不足して
"short" には「不足して、不十分な」という意味もあり、次の2つの「ショート」はこの意味に由来します:
- 株やFXの「ショート」・・・ 持っていない、すなわち不足している資産を売るから "short"。 "short sale" で「空売り」。 "sell short" で「空売りをする」。
- ゴルフの「ショート」・・・ 打球がグリーンやホール(目的地たる穴)まで届かないこと指す言葉。「(距離が)不十分な、足りない」ので "short"。
2.3. ショートする
「電気回路がショートする」などの「ショート」の由来は、「短絡、短絡回路」を意味する "short circuit"。
"short circuit" は元々は「短絡、ショート」を意味する名詞ですが、「ショートする」を意味する動詞としても用いられます。
"short circuit" に "short" という言葉が入るのは、「電気回路のショート」において電気が本来の適正な経路よりも短い(そして通るべきでない)経路を通るからです。
2.4. もろい、口溶けが良い
"short" には「砕けやすい、もろい」という意味もあります。 この意味の "short" は金属や食べ物などの形容に用いられます。 食べ物の場合は「口溶けが良い」とも訳せるでしょう。
"short" のこの意味は、一説によると「繊維が短い(having short fibers)」に由来します。 綿などの繊維が短いと千切りやすいので。
"short" が「砕けやすい、もろい」の意味で使われる代表的な言葉は「ショートニング」と「ショートケーキ」。 この2つを次で解説します。
ショートニング
お菓子作りに使うショートニング(shortening)の「ショート(short)」も、「砕けやすい、もろい」の意味です。 ショートニングとは、常温で固形化する油脂(*)。 小麦の生地の口溶けを良くする(粘りを阻害する)作用があります。"shortening" について
"shortening" は「ショートにする、短くする」を意味する動詞 "shorten"(*) に現在分詞の "-ing" が付いたもの。したがって、"shortening" は本来は形容詞で、意味は「(お菓子やパンを)もろい状態にするような」。
その形容詞 "shortening" が「もろい状態にする物」を意味する名詞になったのが、お菓子やパン作りの「ショートニング(shortening)」です。
ショートケーキ
「ショートケーキ(shortcake)」という言葉の成り立ちとして、次の2つが考えられます:
- 「砕けやすい、もろい」の意味の "short" を "cake" と組み合わせた。(*)
- 「ショートニングを加えた」を意味する "shortening added" の略語としての "short" を "cake" と組み合わせた。