質問:「アグレッサー」とは、どういう意味ですか?
回答:「敵対的な行動を開始する者」という意味です。
反撃や仕返しとして敵対的な行動を行う側は「アグレッサー」ではないわけです。
詳しくは以下をご覧ください。
1. 英語に戻すと
「アグレッサー」を英語に戻すと "aggressor" です。
2. "aggressor" について詳しく
英和辞典は "aggressor" の訳語として「侵略者」や「攻撃者」と記載します。
ですが
ですが "aggressor" の意味は上記の通り「敵対的な行動を開始する者」です。 「侵略者」や「攻撃者」では "aggressor" の意味の範囲をカバーしきれません。
このことは「開始する側」や「敵対的な行動」が何を指すかから明らかです。
「開始する者」と「敵対的な行動」が指すものを次で見てみましょう。
「開始する者」
「開始する者」は次のように様々です。
- 国家
- 組織、集団、企業
- 個人
「敵対的な行動」
「敵対的な行動」も次のように様々です。
- 軍事的な行動
- 暴力
- 経済的・ビジネス的に敵対的な(相手に不利益を被らせる)振る舞い
- 言葉による攻撃
- 敵対的な態度
お分かりでしょうか
「開始する者」と「敵対的な行動」の内容から明らかなように、"aggressor" の意味は「侵略者」や「攻撃者」にとどまりません。 これらの訳語に収まりきらない意味があります。
例えば、2022年のアカデミー賞授賞式でウィル・スミスが司会のクリス・ロックを平手打ちした事件では、攻撃された側であるクリス・ロックが "aggressor" です。 脱毛症に悩むウィル・スミスの妻のヘアスタイルをクリス・ロックがジョークにし、それに激高したウィル・スミスが暴行に及んだからです。
暴力事件で暴行を加えた者(攻撃者)が "aggressor" とは限らないわけです。 暴力を誘発するのに十分な(非暴力的な)言動を被害者が先に行った場合、被害者側が "aggressor" と見なされます。 この場合の "aggressor" は「侵略者」でも「攻撃者」でもありません。
国家間の紛争や企業間の争いも同様です。
3. 対義語
"aggressor" の対義語は次のようなものです:
- defender ・・・ 防御する者
- retaliator ・・・ 報復する者
- victim ・・・ 被害者(ヴィクティム)
国家間の紛争でも企業間の争いでも暴力事件でも、多くの加害者はアグレッサーの肩書きを相手に押し付け「自分は報復/防衛しただけだ。 むしろ被害者だ」と主張します。 先に手を出すアグレッサーが悪いとされ社会的に不利な立場に立たされるからです。
実際には、どちらがアグレッサーか判然としなかったり、どちらの側をアグレッサーと見なすかが立場により異なったりするケースが多数です。