「ギブ・アンド・テイク」の意味。 英語とカタカナ語との意味の違い、「ギブ」と「テイク」それぞれの意味

ギブ・アンド・テイク」という表現がありますが、この表現はどういう意味なのでしょうか? 「ギブ」と「テイク」それぞれは一体どういう意味なのでしょうか?

「ギブ・アンド・テイク」は "give and take"

「ギブ・アンド・テイク」は "give and take" という英語をカタカナで表記した言葉です。

「ギブ・アンド・テイク」の意味

「ギブ・アンド・テイク」というカタカナ語は「互いに利益を与え合う」という意味で使われます。 相利共生の関係というわけです。

国語辞典(デジタル大辞泉)でも「相手に利益を与え、自分も相手から利益を得ること」と説明されています。

"give and take" の意味

ところが、英語の辞書で "give and take" の意味(カタカナ語ではない英語本来の意味)を調べると、「互いに利益を与え合う」というのとは少し違う意味が記載されています。

(カタカナ語の「ギブ・アンド・テイク」ではない)英語の "give and take" の意味は次のようなものです:

  1. 互いに譲歩し合う(こと)、互いに歩み寄る(こと)、交渉する(こと)
  2. 議論を交わし意見を交換する(こと)
"give and take" は名詞および動詞として使われます。 形容詞として使われることもあります。 "give and take" は、"give-and-take" という具合にハイフンで連結されることもあります。

"give and take" の意味を「お互いに相手方の希望や視点に耳を傾け、必要とあらば自分の側の要求を変更すること」と説明している辞書もあるので、「議論を交わし意見を交換する(こと)」という上記の2.の意味は「意見を交換した上で互いの要求を見直す」というニュアンスを含むのかもしれません。

というか、下記の用例を見ると "give and take" が「譲歩し合う」という意味で使われているのか、それとも「意見を交換する」という意味で使われているのか判断がつかないものが多いので、"give and take" の意味を上記の2つに分ける必要も無いかもしれません(意味を2つに分けている辞書が多かったので2つに分けたのですが)。

"give and take" の用例

以下の用例では、あえて "give and take" を「譲歩し合う」や「意見を交換する」という日本語にせずに「ギブ・アンド・テイク」というカタカナに置き換えています。

「ギブ・アンド・テイク」を「利益を与え合う」というカタカナ語の意味に理解すると文の意味が通らないという点、そして「ギブ・アンド・テイク」を「譲歩し合う」に置き換えるべきなのか「意見を交換する」に置き換えるべきなのか判断に苦しむケースが多い点に気を付けて例文を鑑賞しましょう。

You won't get far in this business if you aren't willing to allow a little give-and-take with your competitors.
この業界では、競合相手との間でのギブ・アンド・テイクをいささかも許容できないなら成功はおぼつかない。
# "give-and-take" が名詞として使われている。
We can’t all expect to have exactly what we want. There has to be some give and take.
自分が望むものを理想的な形で得ることなど出来ない。 どこかでギブ・アンド・テイクが必要になる。
# "give and take" は名詞。
The purpose of this meeting is to have a bit of give-and-take between employees and the management for ideas on the direction of the company.
この会議の目的は、我が社の方向性について従業員と経営陣とのあいだでちょっとしたギブ・アンド・テイクを行うことにある。
# "give-and-take" は名詞。
Every contract involves some give and take.
あらゆる契約には何らかのギブ・アンド・テイクが関わっている。
# "give and take" は名詞。
You have to be willing to give and take when you enter politics, otherwise nothing will ever get done.
政界に入ったら積極的にギブ・アンド・テイクしなくては何もできないよ。
# "give and take" が動詞として使われている。
If we want this marriage to be successful, we both have to learn to give and take.
この結婚を成功させたいなら、私たち2人ともがギブ・アンド・テイクすることを学ばなくては。
# "give and take" は動詞。
The university has set up an online forum so students are able to give and take with the administration.
その大学は、学生が大学側とギブ・アンド・テイクできるようにとオンラインのフォーラムを用意した。
# "give and take" は動詞。
You never get everything you wish for in these give-and-take situations.
こうしたギブ&テイクの状況では、自分が望む全てをけっして得られない。
# "give-and-take" が形容詞として使われている。

"give" と "take" が担当する意味

"give(ギブ)" の基本的な意味は「与える」というもので、"take" の基本的な意味は「受け取る」というものです。

したがって "give and take" という表現では、"give" が「(譲歩や意見を自分が相手に)与える」という意味を担当し、"take" が「(譲歩や意見を自分が相手から)受け取る」という意味を担当すると考えられます。

ギブ・アンド・テイク」というカタカナ語の場合にも(英語の "give and take" と少し意味が違うものの)同様に、「ギブ」が「(自分が相手に)利益を与える」という意味を担当し、"take" が「(自分が相手から)利益を受け取る」という意味を担当するはずです。

"give" と "take" の意味を理解をしていないと...

しかるに、先日ライトノベルを読んでいて次のような表現に遭遇しました:

ギブしてもらったらテイクしなければならない
ギブとテイクを比較すれば、圧倒的にギブされている。
ギブされたら、ちゃんとテイクしないとな。

こうした不適切な表現が生まれたのは、「ギブ」を「相手から利益を与えられる」という相手側の行為の意味に、そして「テイク」を「相手に利益を与える」という自分の側の行為の意味に、それぞれ間違って理解しているためでしょう。

ギブ」に関しては、誰が行う行為であるのかに関して間違っています。 「テイク」に関しては行為の内容に関して間違っています。

「ギブ・アンド・テイク」という表現の正しい解釈では、「ギブ」が「自分が相手に与える」という自分の側の行為を意味し、「テイク」が「自分が相手から受け取る」という自分の側の行為を意味しますから、上の各表現は次のように訂正されます:

☓ ギブしてもらったらテイクしなければならない
○ テイクしたらギブしなければならない
△ ギブとテイクを比較すれば、圧倒的にギブされている。
○ ギブとテイクを比較すれば、圧倒的にテイクしている。
☓ ギブされたら、ちゃんとテイクしないとな。
○ テイクしたら、ちゃんとギブしないとな。

原因の分析

このような間違いが生じる原因をまとめると次の2点となります:

  1. 「ギブ(give)」の意味は知っているが、「テイク(take)」の意味は知らない

  2. 「ギブ・アンド・テイク」において「テイク」は自分の側の行為だが「ギブ」は相手の側の行為であると間違って理解している。

    正しくは「ギブ」も「テイク」も自分が行う行為。 自分が相手に与え(ギブ)、自分が相手から受け取る(テイク)。

2.の誤解は1.の無知に起因します。 「テイク」の意味を知らないために、「ギブ」と「テイク」が誰が行う行為であるのか(誰が主語なのか)に関して混乱が生じてしまうのです。

恥をかかないためには

  1. むやみに分解しない - 「ギブ・アンド・テイク」という言葉を「ギブ」と「テイク」に分解して使わなければ、上記の例のように「ギブ」と「テイク」の意味に関する認識の間違いを露呈して恥ずかしい思いをすることもありません。
  2. 「テイク」の意味を忘れない - 「ギブ・アンド・テイク」を分解して使いたいなら、「ギブ・アンド・テイク」の「テイク」が「(自分が相手から)受け取る」という意味だと覚えておきましょう。 それだけでOKです。